皆様ごきげんよう。火気厳禁です。今回は活動を終了しているグループの特集シリーズ「旧譜digレポート」のwonder girls編をお届けします。
プロフィール
Wonder Girlsは2007年にJYPエンターテイメントからデビューした5人組ガールズグループで、メンバーの脱退、加入を経て最終的にユビン、イェウン、ソンミ、ヘリムの4名体制で活動しました。2007年の「Tell Me」の大ヒット以降順調に人気を獲得し韓国だけでなく中国、日本、アメリカでも活動を行いますが、2010年ソンミが進学のため休業、また2013~14年にメンバーのソネとソヒが脱退と活動のペースを落とさざるを得ない状況に。2015年のソンミ復帰後は上記の4人でバンドとしてカムバックし、結成10周年を迎える2017年に解散しました。
デビュー直後に健康上の理由から脱退したヒョナは後にCUBEから4minutesとしてデビュー。現在もソロ活動を続けています。
ディスコグラフィ
ということで早速時系列に彼女たちの活動を追っていきましょう。
The Wonder Begins(2007)
Irony
デビュー作『The Wonder Begins』は808っぽいサウンドをベースにしたR&Bソング。今の耳で聴くとむしろ今っぽいというか、KISS OF LIFE「sugarcoat」やQueenz Eye「RE-Original」のような作風を当時のテクニックでやっている印象を受けます。まだ若干あどけなさの残る のボーカルが萌えポイントなのではなかろうか。このEPはヒョナ在籍時の唯一のリリースでもあります。
雰囲気一緒ですが収録曲「Bad Boy」「It’s Not Love」はもっと本格的に80sポップス~R&Bに寄せていて面白い。
The Wonder Years(2007)
Tell Me
韓国で一斉を風靡しガールズグループ人気の礎を築いた「Tell Me」。ディスコ調のノリとチープだけどクセになるサウンド、何よりサビの「Tell Me」のリフレインが脳裏にこびりついて離れません。いわゆるフックソングの先駆者です。MVの全体的なダサさ、権利関係的に大丈夫なのか怪しすぎるワンダーウーマンコスプレ(しかも露出狂をシバいている)も味わい深いですね。メロディはStacey Q 「Two Of Hearts」からのサンプリング。
妙な中毒性とキャッチーなダンスでこの曲が大ヒットし、K-POP史に残る名曲として現在でも歌い継がれています。近年だとNewJeansのSBS年末特番でのカバーステージが話題になりましたね。
So Hot(2008)
So Hot
2ndシングル「Tell Me」のタイトルトラックは前作の80sダンスポップテイストから更に10年戻った70sをリファレンス。この後の「Nobody」は60sらしいので安室奈美恵じゃん! しかもリリース時期も被っている(安室奈美恵『60s 70s 80s』が2008年3月)。こちらの曲は事務所の後輩TWICEの他、BLACKPINKによる秀逸なRemix、fromis_9によるダンスカバーまで公開されています。
The Wonder Years - Trilogy(2008)
Nobody
前述の通り60sポップスをリファレンスした「Nobody」。スタンドマイクを使ったパフォーマンスとモータウンや1960年代のポップミュージックの要素を取り入れている。この曲は商業的に成功し、韓国の各種音楽チャートで首位を獲得したほか、韓国のガールズグループの曲としては初めてビルボード・ホット100チャートにランクインしました。
こちらは日本語ver.が出ている他、KARAやTWICE、そしてBIGBANG・2PM・SHINee・Super Juniorによるカバーも上がってました。画質ガビガビでもシンドンだけシンドンってすぐ分かるな……
Anybody(2008)
デジタルシングルとしてリリースされた「Anybody」はJ.Y.Parkと韓国HIPHOPの重鎮Dynamic Duoを招いた「Nobody」のアンサーソング、というかRemix。男性目線のリリックをアコースティックギターアレンジされた「Nobody」のビートに乗せてスピットしています。
2 Different Tears(2010)
2 Different Tears
ソンミの休業、ヘリムの加入後の2010年5月にシングル『2 Different Tears』をリリースしました。タイトル曲はより洗練され、成熟し、モダンな雰囲気のディスコソング。このシングルは今までの人気曲「Tell Me」「So Hot」「Nobody」を収録したベスト盤のようなシングルで、韓国、中国、アメリカで同時発売されました。スパイ大作戦、いやオースティン・パワーズ?なスパイコメディ調かつスウィンギング・ロンドンっぽい色彩のMV、内容こそ意味分からんけど(最後調査対象の宇宙人のUFOに乗って銀河の彼方へ飛んでいく)傑作では……? 冒頭ピカチュウとかトゥイーティーのシルエット出てくるけど許可取ってないやろ。笑
Wonder World(2011)
Be My Baby
「Be My Baby」はモータウンから影響を受けたダンスナンバー。グリッチーなシンセサウンド、愛らしい歌詞で若干活動初期の雰囲気に戻ったような印象もあります。ほぼ全編モノクロームのMVも中々衝撃的というか、この曲調ならもっとポップでもいいのでは……という印象。
こちらもNMIXX、Cherry Bulletによるカバー動画が上がってました。あとなんかサバ番とかでよくカバーされてる気がする。
収録曲の中だと電子音の生み出すドライブ感が際立つ「Super B」、JYP所属(当時)のラッパーSan Eをフィーチャーした「Act Cool」が良い感じでした。
Like Money ft. Akon(2012)
セネガル系アメリカ人歌手Akonを客演に招いた欧米市場向けシングル『Like Money』。JYPらしい時代がかったエレクトロポップジャンル楽曲です。「お金みたいに 車みたいに私を愛して」って凄い歌詞だな……。イ・ジョンヒョン「Wa」から約20年、SF的なモチーフが時代を超えて使われていることもよく分かります。
Wonder Party(2012)
Like This
HIPHOPの要素を取り入れたアップテンポのダンス・トラック「Like This」。ミュージックビデオはフラッシュモブをフィーチャーした爽やかでシンプルな演出。
収録曲だとスティッキーなリズムの「R.E.A.L」、ユビンの長尺情念ラップが聴ける「Girlfriend」も良い感じ。
更にこのピアノのループ嫌いな奴おらんて……な「Sorry」、アメリカ進出時の楽曲「The DJ Is Mine」ではダブステップサウンドを取り入れており、かなり表情豊かなアルバムだといえます。
Reboot(2015)
I Feel You
ソンミが復帰、フォーピースバンド体制でのアルバム『Reboot』。リード曲「I Feel You」ではEurythmics的なテカテカしたシンセとドラムマシーンで80sをリファレンスしています。ソンミのソロ作の2017~18年の作風はこのあたりの影響から来ている、というと大袈裟でしょうか。流石に2015年ともなると今とMVのクオリティそんなに変わらないですね(大手事務所だからというのもありそうだが)。
「Candle」では大御所ラッパーPaloaltoとコラボレーション、HIPHOP界隈との距離の近さもこのグループの特徴ですが、この曲ではシンセポップに男女のラップが交互に繰り出されるような構成になっていて面白いです。NJS感のある「Back」も好き。
Why So Lonely(2016)
Why So Lonely
ジメジメしたレゲエ調のバンドサウンドが最高。ってかこれRed Velvet「Russian Roullete」とMVの監督一緒じゃない……???
収録曲だと「Beautiful Boy」が好きです。天女の羽衣のように滑らかなサビのユニゾン。
그려줘 (DRAW ME)(2017)
解散シングル『그려줘 (DRAW ME)』は優しいバラード楽曲で、「私たちの思い出を絵に描いて」と今までの活動を振り返りつつ共に時間を過ごしたファンに追憶を誘う内容の歌詞を歌っています。
ここまで、Wonder Girlsのディスコグラフィを振り返ってきました。彼女たちの活動の軸には餅ゴリのUSポップス~ブラックミュージックへの愛とHIPHOPへの関心が据えられ、そこに彼独特のポップセンスが加えられることで「Tell Me」「Nobody」「So Hot」などの大ヒットに繋がったのでしょう。2015年『Reboot』以降は80sシンセポップをリファレンスしつつ今の耳で聴いても古臭くないサウンドに仕上げています。その音楽性は彼女たちの後輩グループmiss A、そしてソンミのソロ活動に引き継がれていくのでした。
ということで旧譜digレポートシリーズ、Wonder Girls編でした。次回もお楽しみに。
参考資料
- https://ja.wikipedia.org/wiki/Wonder_Girls
- https://namu.wiki/w/원더걸스
- https://genius.com/artists/Wonder-girls
- https://jpstreet.jp/rapper/sane_profile/
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