火気厳禁のハングル畑でつかまえて

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半地下のオタクがK-POPを語るブログ

20251001/Red Velvet Irene & Seulgi BALANCE Tour in Japan 公演レポート

2014年のデビューから独自の世界観、各人の個性と実力で熱狂的な支持を得る5人組ガールズグループ・Red Velvet。そのメンバーであるアイリーンとスルギによるユニット"Red Velvet - IRENE & SEULGI"でのアジアツアーが開催された。本稿では、そのツアーの最終公演となる東京公演2日目をレポートしてみる。今回の来日公演はRed Velvet最後の来日から約2年ぶりとなり、そしてツアーの最終公演とあって日本国内のみならず海外からも多くのファンが有明・東京ガーデンシアターに集まった。

 

(前回公演のレポートはこちら)

kaki-genkin.hatenablog.com

 

客入れBGMの音量が一段と大きくなり、公演がスタート。音と光の演出に合わせ、レザー素材にビジューをたっぷりあしらった衣装に身を包んだアイリーンとスルギが登場する。最新アルバムのリードトラック「TILT」が流れ出すと、観客は大きな歓声で応えた。続けて「君が悲しむほど私は幸せ 君が苦しむほど私は楽しい」と甘く破滅的に歌う「Feel Good」、蠱惑的な夜の雰囲気をTrapR&B調のビートに載せた「Trampoline」を披露。冒頭からキラーチューンを連発し一気に観客の心を掴んだ。 「こんにちは、Red Velvetのアイリーン、スルギです!」と快活に挨拶を済ませると、上の階まで埋まった会場を見渡しながら約2年ぶりとなる日本のファンとの再会を喜んだ。続くオーセンティックでスムースなR&B楽曲「Diamond」、息の揃ったペアダンスが特徴のハウスナンバー「Naughty」では銀テープの演出もあり、公演の序盤を華々しく飾った。

 

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「ファッションフィルムのよう」とスルギが表現する通りのシックなVCR(幕間映像)を挟み、夕焼けを思わせる照明の中スルギのソロ楽曲「Praying」 がスタート。冷たさすら感じさせる低いトーンを効かせた歌唱とダンサーとの一糸乱れぬパフォーマンスを観客は息を飲んで見守る。翻って「Dead Man Runnin'」では身体を揺さぶるベースの轟音と眩い光の中で、そのしなやかな身体に漲るエネルギーを炸裂させる。そんな緩急の効いたパフォーマンスとMCで見せるお茶目さのギャップがたまらない。「私の(運転席の)横に乗る人~!?」と観客に問いかけそのまま2ndソロアルバム収録の「Rollin'」へ。快活でキュートな雰囲気から一転、続く同アルバム収録の「Better Dayz」では再び背筋の凍るようなカリスマを感じさせる。個人的に「28 Reasons」「Los Angeles」も聴きたかったぜ……!!

 

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そんなスルギのパフォーマンスの興奮冷めやらぬ中、突如として流れ出す「Be Natunal」のイントロに大きな歓声が上がる。オールドファンならずとも一度は見たことがあるであろうSM ROOKIES(練習生)時代の椅子を使ったパフォーマンスの再現、そしてアルバム『TILT』収録の「Irresistable」と官能的なR&Bナンバーの連続に会場は酔いしれた。

 

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続いてアイリーンのソロステージでは、徐々にお互いの距離が縮まっていく様子を可愛らしく描いた「Strawberry Silhouette」、隠していた感情に気付き受け入れる過程を表現した「Calling Me Back」と彼女らしい奥ゆかしさが感じられる楽曲が続く。MCでは「最近日本語を勉強しているのですが、久しぶりに会うスタッフの方が公演1日目のMCを観て『10年前と日本語の実力が変わってない』と言われ返す言葉もありませんでした……」 (ほぼ原文ママ)と話し、近いと言えど外国語である日本語を1つ1つ言葉を選びながら話す様子に会場は温かい声援で称えた。「皆さんもお好きだし、私にとっても大切な曲をお見せします」との言葉から「Ka-Ching」へ。アイリーンの誕生日を祝うファンミーティングにて初めて披露され、その後ソロアルバムに収録されたという経緯を持つこの楽曲では、一層大きな応援法(合いの手)の声に表情が綻ぶ一面も。リスナーの背中を押す「Start Line」では、爽やかな青空を思わせる澄んだボーカルを聴いていると、彼女の長いキャリアの中でたった今、この歌詞を歌うということについてつい想いを馳せ目頭が熱くなった。

 

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衣装チェンジを挟み、再びアイリーンとスルギが登場。最初の衣装よりやや装飾は控えめ、禁欲的なレザースーツにタイツの組み合わせがコケティッシュ。KISS OF LIFEジュリーが参加した「What's Your Problem?」ではラップパートを2人が交代に担当し、ライブならではのアレンジにニヤリとさせられる。続く「Heaven」でもBoombap / HIPHOP調のトラックに載せた甘美な歌唱で観客を魅了。スルギが首でノッてるのが良かった

 

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しばらくの暗転の後、ステージにふっと降ろされた白い幕に花の蕾の映像が投射される。薄桃色の花がゆっくりと咲いていき、アイリーンのソロ楽曲「Like A Flower」が流れ始める。この曲のパフォーマンスからは彼女の楚々とした雰囲気と迫力が同時に感じられ、アマピアノやアフロビーツ系のリズムを活かした足技中心のダンスも軽やかかつ大胆。たなびく真っ白なトップスと長髪が女神のようだった。続くスルギのソロ楽曲「Baby, Not Baby」では爆音のギターリフと凄まじい精度のダンスにゾクゾクさせられる。2人の相反する魅力のギャップが痺れるような舞台だった。 再び揃いのレザー衣装に着替えると今日の公演を振り返りつつ、「もう最後の2曲しか残っていません……」と名残惜しそうに次の曲へ。サビの伸びやかなボーカルが小気味良いロックナンバー「Girl Next Door」、ユニットとしてのデビュー曲「Monster」を披露し、ステージを後にした。

 

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アンコールを求める歓声が続く中、屈指の人気楽曲「You Better Know」と共にアリーナ後方の扉から2人が登場。それぞれが客席の合間の通路をゆっくり歩きながら、観客と直接視線を交わす時間を楽しんだ。続けてコアなファンの間でも人気の高い日本語楽曲「Aitai-tai」がスタート。余談中の余談だが筆者はこの曲が本ッッッ当に好きなのでイントロ流れた瞬間大声出しながら膝から崩れ落ちた。「映画より散歩が好き 色んなこと喋りたい」……(´;ω;`)!!

もはや定番となっているアンコールでの「Zimzalabim」では会場全体が一体となってこの日1番の盛り上がりを見せる。この日はアジアツアーのどの会場よりも多いサビおかわり7回(!!)を達成したとのことで、ファンの「한번더!(もう1回!)」の声に困惑するスルギの表情が印象的だった。そんな熱い会場の反応を汲み取って、アイリーンの提案の中から特に反応の多かった楽曲「Power Up」も披露。

最後のMCでは来年には日本でのユニット活動が予告され、思わぬサプライズに会場が揺れる。アイリーンは「日本の観客の皆さんが胸の前でペンライトを持ってじっと集中して話を聞いてくださる姿が印象的」「皆さんが喜んでくださることこそが私が舞台に立つ理由です」、スルギは「最終日ということで力が入り過ぎて少しミスもあったけど、無事終われて良かった」「2人の長所を掛け合わせて、ツアーを通して自分もさらに成長することができた」と公演を振り返り、お互いを労うようにハグを交わした。最後には1日目にも披露された日本語楽曲「Swimming Pool」を披露し、本当の本当にツアー最終公演を締めくくった。

 

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ツアーを締めくくるこの公演は、冒頭からアンコールまで一瞬たりともダレることなく2人それぞれのパーソナリティや魅力を表現した充実の2時間となった。柔と剛、破壊願望と慈しみ、友愛と性愛、そして正気と狂気―――。Red Velvetとして5人で描いてきた相反する2つの要素の融合を更に深化させ、それが表裏一体であることをステージ上の調和によって表現したアイリーンとスルギ。日本活動ではどんな2人の姿が見られるのだろうか。そして、2人のパフォーマンスが素晴らしかったからこそ、Red Velvet5名でのパフォーマンスがもっと恋しくなったのは筆者だけではないはずだ。それぞれが個人での活動を経て、よりパワーアップしたRed Velvetにまた会えることを心から祈っている。

 


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