火気厳禁のハングル畑でつかまえて

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半地下のオタクがK-POPを語るブログ

20190523/Kultural studies(Red Velvet編)

(追記:元タイトル「KーPOP定期便(Red Velvet特集)」)

 

近くて遠い、遠くて近い、というとさながら片想いの相手のようですが、今宵のテーマは隣国、韓国のポップミュージックについてです。飛行機で二時間とかからない彼の国の大衆音楽について、我々は知らなさ過ぎる、とここで断言しても良いでしょう。今回はRed Velvetというグループにフォーカスし、可愛らしいエレポップから90年代風R&Bまで歌い踊る彼女達の魅力を細胞レベルで解剖。鮮烈な赤とスムースなベルベットが連想させる、エロティックな幻想、パステルカラーとブラックユーモア、『毛皮のマリー』、果たして赤の味とは甘いのか、苦いのか? ということで今夜の一曲目はRed Velvetで「Red Flavor」。

 

 


Red Velvet 레드벨벳 '빨간 맛 (Red Flavor)' MV

 

はい。「前口上と〆挨拶」、秘密の第三スタジオから火気厳禁がお送りしております。今回は恒例企画K-POP定期便の二回目、Red Velvet特集です。Red Velvetとは2014年デビューの五人組ガールズグループで、ルックスの良さと凝った楽曲、力の入ったヴィジュアルイメージが特徴。 今夜はそんなレッベルちゃんの魅力を、三つのキーワードから紹介していきたいと思います。1つ目こちら。

「フレッシュで明るい、"Red"な魅力」。

彼女らのグループ名でもある"Red"には、鮮烈な魅力、という意味が込められています。冒頭かけた「Red Flavor」もそうですが、ここではレッベルちゃんのパッション溢れる魅力について語っていきたいと思います。

デビュー曲「Happiness」は、明るいダンスポップに乗せて「幸せ」とは何なのかということを歌い上げています。MVが一悶着起こしたらしく制作側が謝罪していますが、これはむしろ意図的にそのようなモチーフを散りばめている気がします。炎上マーケティングということも考えられますが……。気になる方は検索してみてください。曲のポップさ、極彩色のヴィジュアルイメージが相まってとてもフレッシュな仕上がりで、デビューしたてのグループに相応しいですね。

1stミニアルバム「Ice Cream Cake」の同名リード曲は、可愛らしいイントロから力強いラップやビート主体のパートが飛び出すトリッキーで中毒性のある曲に仕上がっていて、彼女らのヒットのきっかけとなったとのこと。個人的にはMVで全員明るい髪色にしているのがとても印象的で、初めて見た時は詳しくなかったので「マジでメンバーの区別つかねえ……」と軽く絶望しました。

この路線での最新曲は「Power Up」でしょうか。夏というコンセプトで作られたミニアルバムのリード曲なのですが、果物のモチーフをユニークに使ったMV、サマーバケーションの様子を歌った曲どちらも最高。リップシンクパートでメンバーの可愛らしいお顔が存分に拝めるので是非見てください。

こういった可愛らしい魅力を逆手に取ったヴィジュアルイメージを構築しているのが、4ndシングル「Russian Roulette」。詳しくは後で語りますが、こういったキュートな世界観と、それに相反するイメージの両方を持っていることがレッベルちゃんの大きな魅力だと思います。このあたりで曲いきましょう。先程紹介した曲の中から、可愛らしいイントロのフレーズとダンスに注目の「Power Up」お聴きください。

 

 


Red Velvet 레드벨벳 'Power Up' MV

 

はい。「前口上と〆挨拶」、今夜はK-POP定期便Red Velvet特集ですー。レッベルちゃんの魅力をキーワードから紹介しておりますが、次のキーワードはこちら。

「ダークでクール、"Velvet"なお姉さん」。

デビュー曲「Happiness」でフレッシュな魅力を発揮したレッベルちゃんでしたが、2ndシングル「Be natural」では打って変わって落ち着いたR&Bにメンバーのハイレベルなヴォーカルやコーラスワークが映えています。これはSMエンターテインメント練習生時代のアイリーンとスルギのパフォーマンスを元に作られているそうで、元になったパフォーマンスも探せば見れるのかな? まあ気になる方は是非。またラッパーとのコラボレーションというのも魅力の一つで、韓国HIPHOPシーンの盛り上がりも含めて面白い楽曲です。この後もこういった落ち着いた、クールでアダルトな魅力の曲は作られ続けるのですが、大半がカップリング曲だったりして映像と結びついて魅力を発揮するという場面は少なかったようです。

2017年、夏に「Red Flavor」収録のミニアルバムを出したレッベルちゃんはもう一枚のアルバムを出します。それが「Perfect Velvet」。アルバムタイトルの通り、RedでなくVelvetの面をフィーチャーしたアルバムで、リード曲「Peek A Boo」は傑作。このMVは洋館に住むメンバーたちがピザ配達の青年を……というサイコホラーっぽい構成で、歌詞の「友達は私をおかしいって言うけど 私は普通よ」(著者意訳)というフレーズが効いています。

そんなクールなレッベルちゃんの魅力は、2018年のアルバム「The Perfect Red Velvet」によって総決算されます。これは前作「Perfect Velvet」のリマスター盤。3曲の新曲が収録されているのですが、これが捨て曲無しの超名盤。中でも、追加された新曲のうちの1つ「Bad Boy」が米ビルボードチャートの「ベストK-POPソング20」で1位を獲得してその国際的な人気を証明しました。アルバム全体を通してほぼミドルテンポの曲で構成され、流行りのシティポップサウンドを取り入れた「Look」、シンプルなトラックにメンバーの美しい歌声で恋に落ちた時の気持ちをしっとりと表現する「Kingdom come」、可愛らしいテーマながらR&Bスタイルを崩さずまとめた「My Second Date」など、名曲が盛り沢山、間違いない名盤なので、まずはこのアルバムから聴くのも全然アリですね。はい。ということで今夜の二曲目は「Bad Boy」ですどうぞ。

 

 


Red Velvet 레드벨벳 'Bad Boy' MV

 

はい。Red Velvetで「Bad Boy」でした。カッコいいでしょ? ちなみに僕はツインテールにしてるアイリーンがめっっちゃ好きです。

さてここまで2つのキーワード、2つの軸からレッベルちゃんの魅力を紹介してきましたが、最後のキーワードに移りたいと思います。

「ファンシー&ダーク、危なっかしい女の子たち」。

 ここからが重要です。先に挙げた2つの、フレッシュでキュートな要素と、クールでダークな要素が融合するのが、彼女たちの真骨頂であり、一番ゾクゾクするポイントなんですね。

先に軽く触れた4ndシングル「Russian Roulette」のMVを見れば分かるんですが、曲自体はすごく可愛らしいエレクトロ・ポップ。MVもパステルカラーを使った爽やかな映像なのに、冒頭からメンバーのセーターのほつれに火をつけたり、水を張ってないプールに突き落としたり、殺人ピタゴラ装置を使ってメンバーを撲殺しようとしたり、要するにメンバー同士で殺し合ってるんです。この曲・映像とやっていることのアンバランスさ、危うさが我々の(僕の)心を惹きつけるんです。

日本1stミニアルバムのリード曲「#Cookie Jar」は、ベースラインが心地よいアップテンポなダンスナンバーでタイトルの通りクッキーやお菓子がモチーフとしてMVに登場するのですが、これまた毒のある展開。MVの中で、ケーキが踏み潰されるのですがこういったカラフルで綺麗なモノを壊してしまう暴力性、みたいなものが見え隠れするのがレッベルちゃんの世界観をより深く見せているポイントなのかもしれません。先に挙げた「The Perfect Red Velvet」の楽曲にも、可愛らしい歌声と攻撃的なトラックの「Attaboy」など、楽曲のレベルでアンバランスな魅力が発揮されているものもあります。ということで最後にその「#Cookie Jar」をかけて今週はお別れとしましょう。この曲は日本オリジナルなので日本語詞なのですが、日本語上手くてビックリしました。レッベルちゃんは日本でも活動してるのでね。何か動きがあればここで紹介したいと思います。

今週もお付き合いありがとうございました。親愛なる読者の皆様に、愛と、混乱を。また来週。

 

 


Red Velvet レッドベルベッド '#Cookie Jar' MV